朝と夢とサンドバッグ



 

朝はなぜか気分が落ち込む。

 

昨日は落ち込んだ気分で眠りについたから、起きて早々に脳が不安を処理し始めたのかもしれない。

 

兄が死んでから、明日で2か月が経つ。

49日は済んだだろうし、親戚付き合いもしていないので、誰がどう供養しているのかも分からない。

 

兄のことを考えて気持ちの振れ幅が大きく揺れることも少ないけれど、遠い意識のどこかでやっぱり気にかかっているらしい。

 

ふと夢を見た。

母方の祖母の家に親戚が集まっていて、そこに兄も登場する。

時間が止まったように皆若いままで、何やら話すのだけど。

もしや49日だったかなと、途中で目が覚めた。

 

だからと言って何があるわけでも無いのだけれど、もう少し夢の続きが見たくて12時間ほど床に転がっていた。

 

確かに続きは見たけれど、兄には直接関係の無い会話や情景が繰り広げられただけだった。成仏しろよ。そっと心の中で呟いた。

 

最近は眠りたいのに寝つきが悪く、寝つきが悪いからか何度も目が覚める。

目が覚めると口がカラカラで、口臭が嫌なので起きる度にマウスウォッシュでゆすいでは水を飲む。就寝中に熱中症になるのも時間の問題だ。

 

逃げ込んでしまいたい夢の中はこんな調子で安らぎを感じない。

現実では新たな仕事がスタートして、それからくるイザコザも絶えない。

 

過去に何度も繰り返し失敗しては、その尻ぬぐいをして来たその仕事を10年越しにまた始めることになるとは露にも思っていなかった。

 

10年前の何もできずに言われるがまま我武者羅に働いて苦しんだ自分が思い出される。その時言われた心にも無い言葉が頭の中で何度も繰り返す。

 

今この瞬間のことには何ら関係の無いことだと思っていても、相手が弱音を吐く度に、弱音すら吐けずに苦しんだ自分を思い出して怒りに震える。

 

その弱音を吐く相手は、当時の上司だ。

肩書や立場は未だ変わらねど、当時言われて来たことを自身が一通り出来るようになった。

 

実際に自身で取り組んでみると、当時言われて来た内容がいかに空虚で中身の無い内容だったかが良く分かる。もっと理路整然と、落ち着いて作業出来たはずだと確信している。常にパニックを起こし、周りを巻き込み、自身の不安を私に叩きつけていたのだ。

 

当時から現在に至るまで、その相手は仕事の内容よりも常に感情を優先し、自身をコントロールしようとしなかった結果、今は魂が抜けてもぬけの殻状態。

 

当時私はサンドバッグだった。愚痴や不満や上手く行かない物事の責任を押し付けられるだけ押し付けられた。今なら手に取るように分かる。

 

どれだけ無駄なことでもがいているか、どれだけ効率が悪いか、どれだけ不勉強で仕事ができないか。

 

一度は壊れてしまった私も、今ではようやく強くなった。

もう身勝手に感情を垂れ流すような真似はさせない。

不愉快で、周りをかき乱すような真似はさせない。